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肝胆膵外科 診療内容

杏林大学 消化器・一般外科学教室 肝胆膵外科
主な診療内容

肝胆膵外科では胆石症に対する腹腔鏡下胆摘術から、進行肝胆膵がんに対する手術まで幅広く対応しています。ロボット支援の肝膵切除についても年々症例数が増加し、令和7年の膵体尾部切除の3分の2はロボット支援下に行われています。

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高難度肝胆膵外科手術

当科は日本肝胆膵外科学会の定める高難技能専門医制度の修練施設A(年間50件以上の高難度手術を実施)に相当し、高難度手術の件数は、2018年に診療体制を変更してから順調に増加しています。

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肝臓がんの治療

消化器内科、放射線科、腫瘍内科との合同カンファレンスを毎週開催し、肝癌診療ガイドラインに沿った診療を行うことを原則としています。

肝細胞癌治療アルゴリズム

(肝細胞癌診療ガイドライン2025年版より)

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肝細胞がんは肝切除後の再発率が5年以内に70%認められる疾患であるため、再発巣に対しても繰り返し長期的に治療が可能な初期治療選択が重要です。また、進行肝細胞がんに対しては、新規薬物療法を用いた治療を導入後に切除することで、予後の延長を図ることも可能です。

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残肝容量が不足している、あるいは肝機能が不良だが大量の肝切除を行う必要がある患者さんにも、門脈塞栓術やALPPS、肝静脈塞栓などの工夫を行って、残る肝臓の体積を増やしてから、安全に肝切除を行うようにしています。

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腫瘍に巻き込まれた門脈、動脈、肝静脈を切除し、再建することで手術の可能性を拡げることも可能です。

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低侵襲肝切除の導入

当科では2019年から腹腔鏡下肝切除、2022年からロボット支援した肝切除を導入しました。大きな開腹創を加えることなく病巣を的確に切除することが可能です。

腹腔鏡下肝切除のポート位置の図と術中写真

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ロボット支援肝切除のポート位置と術中写真

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腹腔鏡下手術は出血量が少なく術後の在院期間が短いのが特長です。一方、開腹手術に比べると動作制限や視野制限が多いために、創が小さいのは良いのですが、肝臓の切除範囲も小さくなりがちで、切除断端に腫瘍が露出する危険もあります。低侵襲にこだわり過ぎる必要はないと思います。

当科では2019年の導入以来、2025年7月の段階で腹腔鏡下肝切除75件、ロボット支援肝切除10件とまだ数は多くありませんが、丁寧に診療を進めています。一方、低侵襲での手術を希望される方は担当医にご相談下さい。

膵臓がんの治療

膵がんは難治がんの代表です。発見時に切除可能な割合は30%前後とされ、切除を行っても術後の5年生存率は30-40%と報告されています。膵がんについても膵がん診療ガイドラインに沿った診療を行いますが、個々の治療選択は施設によって異なっています。

膵がんの治療アルゴリズム

(膵癌診療ガイドライン2022より改変)

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膵がんの治療成績を向上させる大切なポイントは、周術期薬物療法の導入です。

膵がんは大血管との関係や転移の有無により切除の可能性が4通りに分けられています。

動門脈に接しない or 門脈に半周未満の接触

切除可能(R)

動脈に半周未満 or 門脈に半周以上の接触

切除可能境界 (BR)

動脈に半周以上接触

局所進行切除不能 (URLA)

遠隔転移あり

切除不能 (UR-M)

杏林大学 消化器・一般外科学教室 肝胆膵外科
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切除可能境界(borderline resectable, BR)膵がんと呼ばれる、大血管に腫瘍が近接している膵がんの治療では、術前薬物治療を導入することで、リンパ節転移率が低下したり、切除断端陽性率が低下したりすることで、長期的な予後も半年程度延長することが知られています。当科でもこのBR膵がんには術前薬物療法を行ってから膵切除を行い、リンパ節転移率74%, 切除断端陰性率87%、5年生存率Z%という成績を得ています。

 

さらに進行して大血管に半周以上浸潤した(unresectable locally advanced, URLA)膵がんの治療では、長期にわたって術前薬物療法を行い、効果が認められた患者さんを選択して切除しています。そのために切除率は15%程度と低率になり、動脈や門脈を一旦切離してつなぎ直す高度な技術が要求されますが、当科では、動脈の合併切除11例中死亡例は1例のみであり、高度な技術であることを考慮すれば比較的安全に施行できています。URLAの14例の患者さんの術後5年生存率は82%と良好です。これは、薬物療法が奏功した患者さんのみを選択して治療しているからに他なりません。

URLA膵がんに対する薬物療法後の血行再建を伴った膵切除の例

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低侵襲肝切除の導入

当院では当科では2019年から腹腔鏡下膵体尾部切除、2022年からロボット支援下膵体尾部切除、さらに2024年からロボット支援下膵頭十二指腸切除を導入しました。大きな開腹創を加えることなく病巣を的確に切除することが可能です。2025年7月現在のロボット支援下膵切除は30件です。

ロボット支援下膵体尾部切除のポート配置と術中写真

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杏林大学 消化器・一般外科学教室 肝胆膵外科
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胆道がんの治療

肝門部領域胆管がんや遠位胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをまとめて胆道がん、と呼んでいます。胆道がんの外科治療は難易度が高いものが多く、消化器内科や腫瘍内科、放射線科と協力する集学的治療が大切です。

胆道がんの治療アルゴリズム

(胆道癌診療ガイドライン改訂第4版より)

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肝門部領域胆管がんの治療では、大量肝切除に加えて肝外胆管切除と再建、動脈や門脈の合併切除と再建、膵頭十二指腸切除の併施などが必要となる場合もあり、高度な医療が必要です。当院では積極的な術前門脈塞栓術による術後肝不全の防止、膵空腸吻合二期再建による膵液漏に起因した出血性合併症の防止を行い、良好な成績を保っています。

 

以下に診療科長・阪本の執刀してきた胆道がんに対する肝切除の手術成績を示します。(国立がん研究センター中央病院、東京大学医学部付属病院肝胆膵外科、杏林大学医学部付属病院肝胆膵外科の3施設での執刀経験を含む。)

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杏林大学 医学部 消化器・一般外科​学教室

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