下部消化管外科 診療内容

治療対象疾患
●腫瘍性疾患
大腸癌(直腸がん、結腸がん、肛門管がん)、その他大腸悪性腫瘍(GIST、NETなど)、大腸腺腫、小腸腫瘍
●炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病
●炎症性疾患
憩室炎
●肛門疾患
痔核、痔瘻、直腸脱、肛門周囲膿瘍
●急性腹症
虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞 など
下部消化管外科では、主として大腸悪性疾患(直腸がん、結腸癌など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)に対する外科治療を軸に、憩室疾患、虫垂炎などの救急対応を行なっております。
手術枠・人員等の問題で肛門良性疾患(痔核、痔瘻、直腸脱)などは、他院との積極的な交流を行い、当院で取り扱う機会は減少しております。

診療の特色
下部消化管外科における専門家として高い医療水準で、個々の患者に最も適した医療を安全に、低侵襲に提供すること、また増加する高齢患者に対しても適切な治療を模索することで、患者さんに優しい諦めない治療の実践をスローガンに診療にあたっております。
手術治療に関しては、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術な ど低侵襲治療を推進し、外科のみならず他診療科との連携による集学的治療を積極的に取り入れることで機能温存を図っております。
下部消化管外科治療全般に関しましては、患者数等の関係でこれまで少し待機時間の長い領域もございましたのでその短縮に努力しております。少しでも早く安全で低侵襲な外科治療を提供できますように努力しております。

大腸がん治療
大腸がんの治療では 、特に排尿機能 ・性機能・自然肛門温存を目的とする機能温存手術、患者さんに優しい低侵襲手術 (腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術)を多くの症例で行っております。機能温存のためには、精緻な手術で神経温存に務め、直腸がん手術に伴う排尿障害、性機能障害の回避に務め、術前より可能な限りの正確な画像診断を行い根治性を損なうことのないように考慮しながら肛門温存に力をいれております。患者さんにできる限り負担の少ない手術を提供するために腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術を多くの症例で施行しております。その際には 日本内視鏡外科学会技術認定医、ロボット支援下手術プロクターなどが責任者として監督し合併症の少ない安全な手術を提供しております。


内視鏡外科学会技術認定医取得
●2021年、2024年に取得者の輩出
2023年 大腸
申請 377人 合格121人(32%)
●取得に向けての取り組み
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技術認定医が、前立ちに入る
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認定医とのビデオカンファレンス
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術者、助手、スコピストの共通の意識を持つこと

症例数は限られているため若手で分配する。
腹腔鏡下S状結腸切除 31例(2023年)、34例(2024年)
また、大腸がんの治療成績の向上のため、外科的手術のみにこだわらず腫瘍内科、放射線科等と連携し集学的治療を行っております。特に直腸癌では局所再発の低減と機能温存をめざした術前放射線化学療法を積極的に施行しております。不幸にも肝臓や肺に転移のある状態で見つかった場合でも専門の外科と連携し根治を 目指した治療を提供しております。近年増加しております高齢者や合併症を有する患者さんも各科専門家と連携し合併症の少ない治療を心がけ、またご本人ご家族とご相談の上であきらめること無く最適な治療方針を検討しております。
●化学放射線治療により腫瘍が完全消失し手術を回避した症例

手術以外の治療では、大腸早期癌に対しては内視鏡的治療も積極的に行っております。消化器内科との密接な連絡を行い、先進的手法を用いた詳細な観察により内視鏡的切除が可能と判断される場合は、より低侵襲と考えられる内視鏡的切除が手術に優先されます。

炎症性腸疾患
炎症性腸疾患は近年増加傾向にある疾患ですが、内科外科の両方が治療に深く関わる疾患ですので連携が非常に重要です。センター化し炎症性腸疾患包括医療センターとして外科内科密接に連携 し治療にあたっております。外科で担当する治療は手術が中心となりますが専門的外科知識と経験に基づき可能な限り低侵襲での治療を安全に提供することを心がけております。



